(このエントリはISAさんのエントリへのトラックバックです。議論の続きなの で、あらかじめそちらを読まれることをお勧めします。)
思うに、ISAさんは実現したい戦術に必要なテクニックやギミックを実装する タイプ、私は実装したいテクニックやギミックが活きる戦術を採るタイプなん ですよね。正反対。もちろん、本人が楽しんでいるのが最重要事項なので、ど ちらが良い悪いということはないですが。
さて、戦術を語れと言われましても、アラクネーのような低速砲戦機では戦術 はほぼ一意に決まりますし、その本質はISAさんが自分の記事の三項目ですべ て語っていますから、語るところは残っていなかったりしますが、どうしましょ うか。敢えて付け加えるなら「自分の距離で戦え」でしょうか。
たとえば、私がヴェロニカ・イェーガーの紹介記事のところで挙げたテクニッ クやギミックはほとんどが、先の三項目の品質を丁寧に高めるものです。これ らの要素によって構成された自分の各レンジにおける得手不得手を考慮して、 初めて砲撃ラインの距離が決められます。私が戦術の一部と考えるのはこうい う理由です。
さて、「砲撃ライン」の概念ですが、これはISAさんも私も同様に砲撃戦の最 重要パラメータだと考えていると思います。これを基に論を進めましょうか。
このラインは、100m以遠ではカノンの命中率は極めて低くなるため、基本的に 「やわらかい」です。「やわらかい」ラインを使って相手の動きを制限して、 熱やミサイル等を管理してデザインした自分の得意距離にうまく誘導してその 距離で戦うのが砲撃戦の基本です。
しかし、予測射撃はその有効射程以内のラインをすべて「かたく」します。す ると、「やわらかい」ラインに基づく距離の応酬はすべて無意味になってしま います。170mの通常の砲撃ラインと、170mの予測射撃の砲撃ラインは全く別物 です。砲撃ラインの適切な設定を行うことが砲撃戦術の真髄だとしたら、予測 射撃の有無はまさに戦術の根幹です。
このように、ギミックの有無は戦術の構成要素となり得ます。予測射撃はギミッ クとしては戦術に影響を及ぼす度合いが最大級ですが、どのテクニックやギミッ クであれ、このような働きを持っていると私は考えます。
さて、砲撃ラインの論をさらに進めます。「やわらかい」ライン同士では、お 互い牽制しあって自分の得意距離に持ち込もうとする戦いですが、全域が「か たい」ライン同士では、シンプルにラインの半径が大きい方が有利になってし まいます。
例えば、ISAさんの指摘のとおり、一式平山戊は通常射撃ながら220m付近に非 常に「かたい」ラインを引きます。これは170mの予測射撃による「かたい」ラ インで挑んでも、そもそも50mの差を埋めることは容易ではありません。 (ただ、これはミサイルによるものなので持続時間に限りがありますが)
私が予測射撃を実装すると決めたとき、大会では予測射撃はきっと多いと思っ ていたので、まず、予測射撃同士の戦いを考えました。そして、予測射撃の有 効射程が最も重要なことだと考えました。
そこで、ジャンプ予測射撃のうち、命中精度が高いために危険な着地点算出型 の既存の実装に対して、できるだけ長くなるように実装を工夫しました。そし てアラクネーに対して有効射程230mを実現しました。
また、自分のラインを保つために、このラインに干渉できる相手のミサイルを 相殺するためにミサイル攻撃とミサイル回避を強化する必要がありました。事実、ミサイル回避 の強化が無ければ、一式平山戊の220mラインに撃ち負けていました。
そして、最後に、ジャンプ間の1フレーム除去です。これは相手の予測射撃の 射程を12m短くする、すなわち砲撃ラインを12m押し下げるという効果を持ちま す。狙撃クネーが有効射程190mですから、差を40mから50mまで広げる大きな効 果です。